1. 愛犬の皮膚は「薄くてデリ…
子犬の「甘噛み」が痛くて困る!プロが教える、叱らずに解決へ導く接し方
かわいらしい子犬を家族に迎え、幸せいっぱいの日々……のはずが、「遊んでいると手足を本気で噛まれて痛い!」「服の裾を引っ張って離さない」といった「甘噛み」の悩みに直面していませんか?
「甘噛み」という言葉の響きとは裏腹に、子犬の乳歯は針のように尖っており、実際に噛まれると傷ができたり、ミミズ腫れになったりと、飼い主様にとっては深刻なストレスになりがちです。
「痛いから厳しく叱らないといけないの?」「このまま噛み癖のある成犬になったらどうしよう」 そんな不安を抱えている方へ。実は、子犬の甘噛みには「叱る」よりも効果的で、お互いの絆を深める解決策があります。
今回は、子犬の心と体の発育に寄り添いながら、今日から実践できる「甘噛み対策」について解説します。
1. なぜ噛むの?子犬が甘噛みをする3つの理由
解決策を知る前に、まずは「なぜ子犬は噛むのか」を理解することが大切です。実は、子犬にとって、口を使うことは人間の「手」を使うことと同じなんです。決して飼い主様を傷つけようという悪意があるわけではありません。
主な理由は以下の3つです。
1. 歯の生え変わりでむず痒い(生理的欲求)
生後3〜6ヶ月頃の子犬は、乳歯から永久歯への生え変わり時期を迎えます。この時期は歯茎がむず痒く、「何かを噛んで違和感を紛らわせたい」という強い衝動に駆られます。これは成長過程における正常な生理現象です。
2.遊びや狩猟本能の表れ(探索・学習)
犬には動くものを追いかけ、捕らえようとする「狩猟本能」が備わっています。ひらひら動く手や、歩く足元は、子犬にとって最高に楽しい獲物(おもちゃ)に見えてしまいます。また、噛む強さの加減(バイト・インヒビション)を兄弟犬と遊びながら学ぶ時期でもあります。
3. 要求や興奮の表現(コミュニケーション)
「遊んでほしい」「お腹がすいた」「眠くてイライラする」といった感情を伝える手段として噛むことがあります。また、楽しくて興奮しすぎた時に、自分をコントロールできずに噛んでしまうこともあります。
2. 意外な落とし穴!「大声で叱る」がNGな理由
「ダメ!」「痛い!」と大声で怒鳴ったり、マズル(口輪)を掴んで叱ったりしていませんか? 実は、甘噛みに対して感情的に叱ることは、逆効果になるケースが多いのです。
- 「遊んでもらっている」と勘違いする
大きな声や 高い声で騒ぐと、子犬は「飼い主さんが反応してくれた!喜んでいる!」と勘違いし、余計に興奮して噛む力が強まることがあります。 - 恐怖心により信頼関係が崩れる
ついつい叩いてしまったり、過度な威圧をしてしまうことは、子犬に「飼い主さんの手は怖いもの」と学習させてしまいます。その結果、手を近づけただけで防衛本能から噛みつくようになったり、臆病な性格になったりするリスクがあります。
推奨するのは、「噛むと良いことがなくなる」と教えることと、「噛んで良いものを与える」ことです。
3. 叱らずに解決へ!今日からできる3つのステップ
それでは、具体的にどのように接すればよいのでしょうか。効果的な3つのステップをご紹介します。
STEP 1:噛みたい欲求を満たす「代替案」を提示する
「噛んではいけない」と禁止するだけでは、子犬の「噛みたいエネルギー」の行き場がなくなってしまいます。
手が近づいて噛もうとした瞬間に、「噛んでも良いおもちゃ」をサッと口元に差し出しましょう。おもちゃを噛んだら、大袈裟なくらいに「いい子だね!」と褒めます。 これにより、「人の手ではなく、おもちゃを噛むと褒められる(楽しい)」と学習させます。
- ポイント: 生え変わり時期の子犬には、適度な弾力があるラバー製のおもちゃや、ロープなどがおすすめです。飽きさせないよう、数種類用意してローテーションさせると良いでしょう。
STEP 2:噛んだら「遊び終了」の合図を送る
遊びの最中に手を噛んできた場合は、以下の手順で「噛む=楽しい時間が終わる」ことを教えます。
- 噛まれた瞬間に、低めの声で短く「アッ(または痛い)」と言います(叫ばずに、ハッとするような声で)。
- 即座に遊びを中断し、目を合わさずにその場で飼い主の動きを止めて完全に無視します。
- 1分程度経過し、子犬が落ち着いたら、何事もなかったかのように遊びを再開します。
これを繰り返すことで、子犬は「あ、強く噛んだら大好きな飼い主さんがいなくなってしまうんだ」と理解し始めます。一貫性が大切ですので、家族全員でルールを統一しましょう。
STEP 3:落ち着いている時こそ褒める
甘噛みをしていない時、大人しく一人でおもちゃを噛んでいる時、足元でリラックスしている時。そんな「何もしていない時」こそが、しつけのチャンスです。
穏やかに「いい子だね」と声をかけたり、優しく撫でたりしてあげてください。「噛まないでいると、注目してもらえる・可愛がってもらえる」と伝えることが、問題行動を減らす近道です。
4. 環境と健康面からのアプローチ
しつけのテクニックだけでなく、子犬が落ち着いて過ごせる環境づくりも重要です。
エネルギーの発散は足りていますか?
運動不足や退屈は、甘噛みを悪化させる大きな要因となります。 ワクチン接種が終わっていればお散歩に行き、室内でも「引っ張りっこ」や「ボール遊び」で十分にエネルギーを発散させてあげましょう。心身ともに満たされた子犬は、室内で穏やかに過ごしやすくなります。
十分な睡眠と休息
「眠いのに眠れない」状態は、子犬を不機嫌にし(いわゆる「寝ぐずり」)、攻撃的な甘噛みを引き起こすことがあります。 子犬は1日に18時間以上の睡眠が必要です。静かな場所にクレートやベッドを用意し、無理に構いすぎず、ゆっくり休ませる時間を作ってあげましょう。
口内環境や栄養バランスの確認
稀にですが、歯の違和感が強すぎる、あるいは栄養バランスの乱れによるイライラが、執拗な噛みつきに繋がっている場合もあります。 良質なフードを与え、お口の健康状態をチェックすることも大切です。もし、口臭が気になる、歯茎から出血が続いているなどの異常があれば、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
5. 甘噛みは「子犬期だけの特別なコミュニケーション」に変えられる
「いつまでこの痛みが続くの?」と不安になるかもしれませんが、適切な対応を続けていれば、永久歯が生え揃う生後8ヶ月頃までには、自然と落ち着いてくることがほとんどです。
今は大変な時期かもしれませんが、甘噛みへの対処を通じて、子犬は「噛んで良いもの・悪いもの」や「力加減」を学び、飼い主様との「信頼関係のルール」を築いています。
決して感情的に怒らず、一貫した態度で「正解」を教えてあげてください。 飼い主様のあたたかい手は、叩くためのものではなく、愛犬を優しく撫で、守るためのものです。
もし、「攻撃性が強すぎる」「流血するほど強く噛む」といった場合は、一度プロのドッグトレーナーや獣医師に相談することをおすすめします。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも愛情の一つです。
子犬の成長はあっという間です。正しい知識と愛情を持って、この賑やかで愛おしい時期を乗り越えていきましょう。
